ニュージーランド ワーキングホリデー体験記

ワーキングホリデーを利用してのニュージーランド旅行。
ニュージーランド滞在中に感じたこと、日本との違いなどをまとめました。

ニュージーランドの自然

ニュージーランドは緑の国なのに木が少ない!?

 ニュージーランドは一般的に自然が豊かな国として知られています。確かに自然が素晴らしいことは事実です。しかしながら長期間滞在してみると、「なーんか違うんじゃないかなぁ。」という思いを持ちながら過ごしていたのも事実です。
 日本でもそうですが、ニュージーランドでも、市街地から少し離れると自然が次第に多くなっていきます。日本の場合は、木の生えた山であったり、急流の川であったりしますが、山は、多くは牧場として開拓されています。それ以外でも、多くは潅木が生えていたりする程度です。
 現在では、国土の約50%が牧場として開拓され、緑といっても牧場の緑が大半です。どんなに僻地へ行っても開発されていて、羊が飼われているのはとても不思議です。日本では田舎ならどこへ行っても水田があるので、「それと一緒?」と思われるかもしれませんが、ニュージーランドで牧場が目に入る率というのは、日本で水田が目に入る率とは比べものにならないほど高いです。多くの場合、山の頂上まで木が切り倒され、視界に入る山は全て牧草の緑ということも珍しくはありません。
 しかし、一部には羊が餌として食べることのない植物が生え、既に牧草地としての利用価値が少ない荒れ地になりつつある場所もあります。特にエニシダは有害種で一度根付くと旺盛な繁殖力で牧場を壊滅させてしまうほどなのだそうです。
  エニシダは日本でも植えられることがある黄色い花を付ける植物で、時には牧場一面がエニシダで覆われた地平線までお花畑という景色を見ることもできます。当然これは所有者にとっては頭の痛い問題なのでしょうが、見るものにとってはとても美しい光景です。
 かつてはシダで覆われた国だったというニュージーランドですが、このように大半が牧場として開発されてしまったため、本当の意味での自然というのは減りつつあるのではないでしょうか。そして、山の裸地化による保水力の低下により、後述のように洪水があらゆるところで起こっているようです。とはいえ、多くの人にとっては、この牧場の緑が自然を思い起こさせるというのが正直なところではないでしょうか。
 もちろん手つかずの自然も非常に多く残されており、そのような場所はブナやシダが多い茂る原生林がそのまま残されています。また、海岸、河川などは砂防、護岸工事が行われておらず、川や海へ行けば全く手つかずの風景に巡り会うことができます。川は、護岸工事はされておらず、川岸がとても大きくなっています。周りに人家などがない場合には、アマゾンへ入り込んだかのような錯覚を覚えるほどの規模です。

原風景の典型-Milford sound

 上記のように若干過剰開発気味のニュージーランドですが、Milford soundなどはほとんど手がつけられておらず、かつてのニュージーランドの風景をよく楽しめる場所なのではないでしょうか。開発を行う一方で、国立公園となっているこのような保全地域では、徹底した自然保護が行われています。ただトレッキングをするだけでも入場制限を行い、荒廃を防ぐ、また、ヘリコプターによる輸送を極力減らし、繁殖力の旺盛な外来植物の流入による在来植物の後退を防ぐ、などの様々な保護行為が行われています。
 このようなMilford soundの風景ですが、苔の蒸した岩やブナ、シダなどの植生など見れば見るほどどこか日本の山の中にいるような錯覚を覚えます。植生が全く違うなど、この考え方には異論も多いでしょうが、こう思ったのは、おそらく他の場所にはそれほど木が少ないからだと思います。また、ヨーロッパの人々にこれほどMilford soundの人気が高いのも、木々に囲まれたこの風景が自国では珍しいからではないでしょうか。考えても見れば、国土面積の約8割が森林であるような国はフィンランドなど一部を除き、先進国にはもはや日本意外にそれほど多くはないのではないでしょうか。

自然災害が多い

 

 南島西部のGreymouthではつい最近まで十分な護岸工事が行われず、町全体が水浸しになることが珍しくないというほどでした。また、我々の旅行中もクイーンズタウンの前面に広がるLake Wakatipuでも水があふれ、町が水浸しになりお土産物屋の前には土嚢が積まれていました。また、Westcoastでは崖崩れなどもしばしば目にしました。
 日本では、洪水を防ぐために、"100年に1度の洪水にも耐えられるダムや護岸工事"などが盛んに行われていますが、ニュージーランドでは"洪水は時々あるもの、お金をかけるくらいなら多少の被害には目をつむる"と考えらているのでしょうか。実際、川を横断する橋も非常に低い位置に造られており、増水の場合は真っ先に水没すると、人ごとながら心配になるほどです。